2021/09/30

黄桃の缶を開ければ両膝を抱へて沈む女が見える/高木佳子

 黄桃の缶を開ければ両膝を抱へて沈む女が見える/高木佳子

短歌研究2021年10月号より

一瞬で景が浮かび、そして苦しくなった。つるりとした黄桃は
なるほど頭をもたげ、背中を丸めた女に見える。 でもどうして
そんなふうに見えたのか、覗き込み、見おろすそれは
自分自身ではなかったか。沈む女。もう動かない。
引き上げられるのをじっと待つようで。苦しい。


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