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2024/06/17

バスの中はいつも夕暮れ誰もかも俯きながら目的地まで/川島結佳子

 バスの中はいつも夕暮れ誰もかも俯きながら目的地まで/川島結佳子

短歌研究2024年5+6月号より

凄い。言葉の魔力だ。そんなはずはないのに、もう
「バスの中はいつも夕暮れ」だと錯覚する。黄昏てゆく、
人もまばらな車内。それぞれの目的地が物語になって続いてゆく。
自分も物語の一人になって、非日常になっていくような感じがしてくる。
何か好きだな。


2023/12/27

寄り添ってねむってるのは誰だろう朝日のなかの銀河鉄道/穂村弘

 寄り添ってねむってるのは誰だろう朝日のなかの銀河鉄道/穂村弘

短歌研究2023年5+6月号より

宮澤賢治は短編集になっているのをいくつか読んだくらいで、
銀河鉄道の夜は挫折してしまった。それでもちゃんと
登場人物の名前と作品が紐付けされてる。今読んだら、すっと
入ってくるかな。読んだことがなくても世界観が広がるって
凄いよね。青空文庫で読もう。


2023/12/26

足もとに届きてしづかな夕日なり春泥がいつしか黄金となり/堀井美鶴

 足もとに届きてしづかな夕日なり春泥がいつしか黄金となり/堀井美鶴

短歌研究2023年5+6月号より

結句が全部を持ってくね。
全てを洗い流してくれるような気のする夕日だ。足もとのぬかるみも。
冬の白い夕日から、春へと移るのはある日突然のように思える。
うん。 やっぱり結句が好きだな。黄金となるなら春泥も悪くない。
だから春が好きなんだ。静かに足もとを照らす。

2023/12/25

言いわけを知らぬ存ぜぬと言い続けやがてまだらの顔色しわむ/星野京

 言いわけを知らぬ存ぜぬと言い続けやがてまだらの顔色しわむ/星野京

短歌研究2023年5+6月号より

自分のことかな、誰かのことかな。自分のこと…だよね。
私のことを言われてるみたいで苦しくなる。まだらの顔色。
あいまいに濁してやり過ごしてきた。でもきっと、 
誰もが持ってる一面で、こうやって向き合えるなら
少しは前が見えて大丈夫かな。私だけじゃない。


2023/12/24

〈日常〉とは〈われ〉のことなどまるつきり忘れて動いてゐることならむ/古谷智子

 〈日常〉とは〈われ〉のことなどまるつきり忘れて動いてゐることならむ/古谷智子

短歌研究2023年5+6月号より

そうなんだよねえ…。別に居なくても回ってるのよ。だからこそ、
どう動くのか、なんだよね。誰も、何も変わらなくても、
自分は自分だけの日常を動くから。何かを残しても残さなくても
日常に動いてるから。平常なくらしの大切さ。何もないことの幸せ。
メリークリスマス!




2023/12/23

小樽は坂の国 坂の途中で晴れやかに追いぬいていく児童ら/フラワーしげる

 小樽は坂の国 坂の途中で晴れやかに追いぬいていく児童ら/フラワーしげる

短歌研究2023年5+6月号より

坂の街、じゃなくて国、なのがいいね。最後でばーっと
子供たちが駆け抜けてゆく様子が浮かぶのも良い。
小樽はどんどん寂れて悲しいけど、晴れやかに、と児童らで
明るい未来が見えるようで、どんどん追いぬいてほしいと思う。
坂の国ってそういうことかという気付き。


2023/12/22

「紅い花」その終幕の一言を聖句となしてつげワールドは/藤原龍一郎

 「紅い花」その終幕の一言を聖句となしてつげワールドは/藤原龍一郎

短歌研究2023年5+6月号より

つげ義春、全然読んだことがなくて、さっぱり分からないのだけど、
好きな人にはたまらない連作だろうなと思う。連作中の
「ねじ式」だけは聞いたことのあるタイトルだった。
絵が怖くて読まず嫌いしてたけど、今なら読めるかな。
一冊くらい読んでみようかな。


2023/12/21

連綿と守られてゐる禁忌あり一木一草持ち出し法度はつと/藤吉宏子

 連綿と守られてゐる禁忌あり一木一草持ち出し法度(はつと)/藤吉宏子

短歌研究2023年5+6月号より

凄い。とにかく圧倒される連作。このままパンフレット等に
記載されてても違和感がないと思うくらい。どう言えばいいのかな。
短歌だからこそ、見えない感情が見えてくるというか。
こちらに投げかけてくる。あなたは何を受け取るの?と
問われてる気になってくる。


2023/12/20

見上げたる窓ほそく開き欠伸するやうにカーテンがふくらみて出づ/藤田嫩

 見上げたる窓ほそく開き欠伸するやうにカーテンがふくらみて出づ/藤田嫩

短歌研究2023年5+6月号より

何だか淋しい連作。まん中にあるこの歌は、ゆるやかに
おだやかに流れる時間を受け入れつつ良しとしていない。
近いのに遠くて、行きたいのに行けない。見上げる窓が
はるか遠くに思える。カーテンのふくらみは自分であり誰かであり、
どこにも行けない閉塞感。



2023/12/19

コーヒーに注ぐミルクは渦を巻きコロナが過去で語られている/藤島秀憲

 コーヒーに注ぐミルクは渦を巻きコロナが過去で語られている/藤島秀憲

短歌研究2023年5+6月号より

こうやって冷静に語られるとちょっと怖い。周りでは
インフルエンザが流行ってて、検査したらコロナだったという人もいて、
体調が悪いと心配になる。過去ではないはずなのに、
確かに慣れてしまってる。過剰に怖がるのに良くないけど
予防が習慣になったのは良い事だと思う。




2023/12/18

晩白柚ザボン文旦わがうちにひとつながりの昭和の記憶/藤川弘子

 晩白柚ザボン文旦わがうちにひとつながりの昭和の記憶/藤川弘子

短歌研究2023年5+6月号より

戦争の記憶。頭の奥の方がしんとしてくる。懐かしさは辛い記憶も連れてくる。幼かった自分、母の言葉、ムメーヨさんのこと。この連作がひとつながりだ。全然言葉が出てこないや。遠くなっても消えたりはしない。私の言葉は無意味だ。この連作をちゃんと覚えておこう。


2023/12/17

大人とはマスク姿と覚えんかみどり児の夢に未来人とは/藤岡武雄

 大人とはマスク姿と覚えんかみどり児の夢に未来人とは/藤岡武雄

短歌研究2023年5+6月号より

大人の価値感でかわいそうなことを強いてしまったなと思うけど、
当の子供たちが大人になった時、何をどういうふうに感じるんだろうね。
三つ子の魂百までと言うけれど。新しい価値感で幸せな未来を
作って欲しいよ。この年になって、子は宝だなとつくづく思う。


2023/12/16

他人ひと青春はるに俺は泥濘むだろうけどばんばんざいの動画を灯す/廣野翔一

 他人(ひと)の青春(はる)に俺は泥濘むだろうけどばんばんざいの動画を灯す/廣野翔一

短歌研究2023年5+6月号より

書きながら、ばんざいじゃなくてばんばんざいだ、と
読み間違いに気付き、もしやと思って調べたらやっぱり
ユーチューバーだった。誰かのために灯してるのかと思ったけど、
自分のため、かな。ユーチューバー好きな人なら
何かピンと来るんだろうか。




2023/12/15

父になら話したかつたわが些事を心に置きて春の彼岸会/広坂早苗

 父になら話したかつたわが些事を心に置きて春の彼岸会/広坂早苗

短歌研究2023年5+6月号より

父を偲び、日々の流れてゆく連作。こういう短歌を読むと、
私はどこか感情の一部が死んでるんだろうなと思う。
不仲だったわけではない。ああでも時間が経ったからかな。
悲しいという感情がなかったわけでもない。
この歌のように父を想えない娘でごめん。


2023/12/14

歩道行く人も殆どマスクなり「個人判断」五日目の昼/平山公一

 歩道行く人も殆どマスクなり「個人判断」五日目の昼/平山公一

短歌研究2023年5+6月号より

さすがに夏場はしてない人も多かった気がするけど、
何だかすっかり身だしなみの一つになってるのかな。
してる方が安心感はある。かかる時はかかるんだけどさ。
職場がマスク着用なので、あまり深く考えてなかったな。
行き過ぎた人たちに違和感があったよね。


2023/12/13

恋なんかマジなわけないじゃないですかって若者を代表して笑ってる/平出奔

 恋なんかマジなわけないじゃないですかって若者を代表して笑ってる/平出奔

短歌研究2023年5+6月号より

若者を代表、がいいね。めちゃくちゃ負け惜しみ?悔しそう?
なのもいいな。恋愛が一番、だと色々面倒臭そうだけど、
これくらいの気持ちで居られれば楽なんじゃないのかな。
まぁ相手との距離感もあるしね。今は遠くに置きたい、
傷心中の自分。応援したくなる。


2023/12/12

すこしだけ月に心を貸しているわたしをだんだん剝がれる紙は/平岡直子

 すこしだけ月に心を貸しているわたしをだんだん剝がれる紙は/平岡直子

短歌研究2023年5+6月号より

分からない歌を難しい歌と言うのは簡単で、
自分の感性の無さにがっかりする。研ぎ澄まされた言葉の奥に
何かがあるのは分かる。そのかけらすら、私はつかめない。
何度も何度も読んで、引っかかる言葉がいつか胸に落ちてくるだろうか。
分からないのが悔しい。




2023/12/11

撃たれたのかも呑みこめぬうちにピピピと気がつけば終はつてをらう/平井弘

撃たれたのかも呑みこめぬうちにピピピと気がつけば終はつてをらう/平井弘

短歌研究2023年5+6月号より

不思議な雰囲気の漂う連作。この歌は病気の治療とか手
術かと思ったけど、書写してたら違うような気もしてき、 た。でも何なのかは分からないんだけど…。やっぱり手術かな。気がつけば終わってるってちょっと怖いよね。大丈夫って自分を落ち着けてもいるのかな。




2023/12/10

ささくれだった心鎮めるすべなきか夜の静寂しじまにコオロギの鳴く/飛髙敬

 ささくれだった心鎮めるすべなきか夜の静寂にコオロギの鳴く/飛髙敬

短歌研究2023年5+6月号より

春から移ろう季節の端々しい歌で美しいなって読んでたら、
最後の二首で急に不良な空気が流れ出して心がざわつく。
改めて読み直すと、明るいだけじゃないのかな。
気付かないような小さな翳り。夜の青と昼の青。
うまく言えないな。どの歌にも風が吹いてる。


2023/12/09

人の世には語り部が要るあたたかいコーヒーさへ今日は血の味がして/日高堯子

 人の世には語り部が要るあたたかいコーヒーさへ今日は血の味がして/日高堯子

短歌研究2023年5+6月号より

友だちに会いに行く連作なんだけど、この歌だけが
遠いところにあるような、少し衝撃を受けた。語り部というと、
災害とか戦争とか思いがちだけど、日々の暮しにだって
必要だよね。そういう、血の味、なのかなぁ。友と語りあうこと。
難しいな。楽しい事ばかりじゃない。