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2025/12/25

紅梅は濃く薫りゐて白梅の標本木のしづかなりける/真中朋久

 紅梅は濃く薫りゐて白梅の標本木のしづかなりける/真中朋久

現代の歌人140より

紅梅のほうが早く咲くんだねえ。そして標本木は白梅ということも
初めて知った。色々調べると「色は紅梅、香りは白梅」らしい。
改めてこの歌を読むと、紅梅の薫りが色となって浮き立ってくるし、
これから咲く日梅の意りがしづかに漂ってくる。
わぁ、素敵な歌だなぁ。


2025/12/02

[今日の短歌/永田紅]どこへ向けて歩いていてもああ君は引き返そうとは言わなかったね

 どこへ向けて歩いていてもああ君は引き返そうとは言わなかったね/永田紅

現代の歌人140より

もう追い付けない人なんだろうね。どんどん先へ進んで
遠ざかっていく人。どこへ「向かって」ではなく「向けて」なんだな。
引き返そうと言ってほしかった。試すように向けた道を
君は分かっていたのかも。言わなかったのは心が離れていたからか。
ああ、に全てがつまってる。




2025/12/01

[今日の短歌/斉藤斎藤]泣いてるとなんだかよくわからないけどいっしょに泣いてくれたこいびと

 泣いてるとなんだかよくわからないけどいっしょに泣いてくれたこいびと/斉藤斎藤

現代の歌人140より

良いこいびとじゃない、と思ったけど泣いてる理由が
実は花粉症で…とか、感情とは関係ないことだったのかしら。
「なんだかよくわからないけど」がだんだん自分にもかかってきて、
泣いてることだけがそこに浮いてる感じ。
「泣」以外ひらがななのも、ふわふわして混乱を増す。





2025/11/30

[今日の短歌/横山未来子]咲き重る桜のなかに動く陽をかなしみの眼を通して見をり

 咲き重る桜のなかに動く陽をかなしみの眼を通して見をり/横山未来子

現代の歌人140より

特に桜に思い入れがなくても、
何か特別な感情が込められていると思ってしまうのは何故だろう。
この歌の「かなしみ」が、まるで自分の事のように桜の中に
見出してしまう。こういう動く陽を、咲き重る桜を、
確かに知っている。フィルターを通して変わる景色。
明日は違う景色かもしれない。




2025/11/29

[今日の短歌/大松達知]わが足の裏を揉みつつ妻言へり 授業のない日は足が柔らかい

 わが足の裏を揉みつつ妻言へり 授業のない日は足が柔らかい/大松達知

現代の歌人140より

同じ疲れでも、やはり違いが出るんだろうか。
ハンドエステをしてもらった時に「緊張してますね」
「肩凝り辛くないですか?」と聞かれ驚いたのを思い出した。
身近に見てる人ならなおさら良く気付くんだろうね。
夫婦という関係性もあるだろうけど、お互いに驚いてる感じがして素敵だ。





2025/11/28

[今日の短歌/松村正直]ひとつまみの髪をみずから切りし子は叱られておりゴミ箱の前で

 ひとつまみの髪をみずから切りし子は叱られておりゴミ箱の前で/松村正直

現代の歌人140より

うちの子は額の生え際から切って、ショックが大きすぎて
叱ったかどうかの記憶がない。でも怪我しなくて良かったよね。
安心からの反動で叱っちゃう事もあるよね。この歌に第三者目線。
それとも俯瞰して見てる?ゴミ箱の前で切って偉いな、とか、
そりゃあ叱られるよね、とか。




2025/11/27

[今日の短歌/梅内美華子]「それは灰」と誰かが言へば骨ひろふ箸の先にて祖母くづれたり

 「それは灰」と誰かが言へば骨ひろふ箸の先にて祖母くづれたり/梅内美華子

現代の歌人140より

初句と結句が繋がって、祖母の死が手触りとなって目の前に置かれる。
それは本当に灰だろうか、今、箸の先でくずれ落ちたそれは、
灰と区別がつくだろうか。ああ、 本当に死んでしまったんだな、
と実感する。誰かの一言で場の空気が動いて、この世とあの世を分ける。




2025/11/26

[今日の短歌/大口玲子]中年の体はもうひとに預けまい夕山桜濃き影を曳く

 中年の体はもうひとに預けまい夕山桜濃き影を曳く/大口玲子

現代の歌人140より

「もう」が気になるなぁ。今までの自分と、これからの自分。
中年の、というところに今までの反省を感じる。
それでも下の句に心の揺れというか、逡巡するような影に思えたんだ。
夕山桜、多肉植物だった…。風景が変わってくるな。
水を蓄え、自力で生きていく、かな。




2025/11/25

[今日の短歌/吉川宏志]縺れあうコスモス畑で子を追えりいつまで若い父なのだろう

縺れあうコスモス畑で子を追えりいつまで若い父なのだろう/吉川宏志

現代の歌人140より

私も若い母だったので、若いねと言われると、勝手に
嫌味に取って必死だったな。この父はそこまでひねくれては
ないだろうけど。子が成長すればいつしか言われなくなる。
でも子にとっては若い父のままだったりするだろうか。
しまった。書いてるうちに混乱してきた…。









2025/11/24

[今日の短歌/江戸雪]傷つけたことよりずっとゆるされていたことつらく椿は立てり

 傷つけたことよりずっとゆるされていたことつらく椿は立てり/江戸雪

現代の歌人140より

傷つけたという自覚はあったのだろうか。ゆるされていたのは
許容ではなく、諦めではなかったか。全てが今さらと
空回りしてるような、その気付きで椿の花が落ちてしまうような、
いや、それでも立たねばならぬつらさか。その傷が
自分に返ってきて、自分はそれをゆるせるだろうか。




2025/11/23

[今日の短歌/前田康子]草の上で踊ってみたいと思うとき遠いところへ腕は伸びたり

 草の上で踊ってみたいと思うとき遠いところへ腕は伸びたり/前田康子

現代の歌人140より

伸ばした手は空を切るような、届かない空想の世界のような、
現実の体がここにある虚しさというか淋しさというか。
きっと草の上で踊らないだろう。でも遠いところで、
誰でもない自分になりたい。現実逃避とは違う、
ボタンの掛け違いのような虚しさを感じたんだ。




2025/11/22

[今日の短歌/辰巳泰子]このさきの桜並木を浴びる日にどうか孤独でありませんやうに

 このさきの桜並木を浴びる日にどうか孤独でありませんやうに/辰巳泰子

現代の歌人140より

寂しい歌だなぁ。「桜並木を浴びる」って、不思議な言い回しだ。
書きながら「このさき」は未来ではなく、場所のことだろうか、
とか、その祈り、願いは自分のことではなく、他者へのものだろうかとか、
色んなことが浮かんできた。まだ辿り着かず、でもいつか行く場所?





2025/11/21

[今日の短歌/紀野恵]定形的内容を蔵せる定形外水色封筒積めば崩れつ

 定形的内容を蔵せる定形外水色封筒積めば崩れつ/紀野恵

現代の歌人140より

書類か何かかな。「積めば」で同じ封筒を思い浮かべたけど、
違うね。一時保管的に置いてある場所に積んで崩れた
ということかな。本当は開かなきゃいけないけど、内容は把握してる、
崩れてしまったことで、開かざるを得ないという感じだろうか。
ちょっとした後ろめたさ?





2025/11/20

[今日の短歌/真中朋久]濃き眉と髭を持つゆゑいづこよりの留学生かとわれのことを問ふ

 濃き眉と髭を持つゆゑいづこよりの留学生かとわれのことを問ふ/真中朋久

現代の歌人140より

今なら偏見や差別と言われるんだろうか。そんなことを考える
私の方が差別や偏見にまみれてるんだろうか。この歌は
事実を述べただけで、双方の感情は書かれていない。
勝手にお互いの気持ちを想像してあれこれ口を出すから
行き違いが起こるのかな。訳の分からん感想になってしまった…。




2025/11/19

[今日の短歌/東直子]遠くから来る自転車をさがしてた 春の陽、瞳、まぶしい、どなた

 遠くから来る自転車をさがしてた 春の陽、瞳、まぶしい、どなた/東直子

現代の歌人140より

最後で我に返る感じが怖い。思い出のような、幻のような、
自分自身も現実に立っていないようなおぼつかなさ。
この怖さは何だろう。さらわれてしまいそう。いや、さらわれたいの?
最初から「さがしてた」のは特定の誰かじゃなかった?
どなた、は自分自身でもある?






2025/11/18

[今日の短歌/俵万智]子の声で神の言葉を聞く夕ベ「すべてのことに感謝しなさい」

 子の声で神の言葉を聞く夕ベ「すべてのことに感謝しなさい」/俵万智

現代の歌人140より

子がキリスト教の幼稚園に通っていたので、その時のことを
思い出した。舌足らずな声で言うその言葉が、かわいらしくも
胸に響くのは何故だろう。タベ、なのがいいなぁ。何となく、
天使が舞い降りてくるイメージ。子の声を聞きながら、
感謝してただろうかと今日を振り返る。




2025/11/17

[今日の短歌/荻原裕幸]何か見えぬものが炎上してゐるかサラダに紅い野菜がふえる

 何か見えぬものが炎上してゐるかサラダに紅い野菜がふえる/荻原裕幸

現代の歌人140より

昨日に引き続き、今読むから景色が違って見えるんだろうなと
思う一首。この歌が詠まれた頃は、ネット炎上という言葉は
一般的だったろうか。サラダという小さな枠で見れば、
身の回りの人間関係を思うけど、ネット炎上と見れば、
世の中の不穏な空気を感じ取ってるように見える。





2025/11/16

[今日の短歌/穂村弘]包丁を抱いてしずかにふるえつつ国勢調査に居留守を使う

 包丁を抱いてしずかにふるえつつ国勢調査に居留守を使う/穂村弘

現代の歌人140より

何か…今年の国勢調査は、こういう人もいたかもね、くらいに
笑えない世の中になってる感がある。
以前は居留守を使うことに罪悪感があったけど、
最近は出ないのも選択の一つになってる。国勢調査というところに、
自身の存在意義と社会との繋がりを思うのは考えすぎかしら。





2025/11/15

[今日の短歌/林和清]唐突に空中へ出てとまどへる水あり瀧と呼ばれるまでの

 唐突に空中へ出てとまどへる水あり瀧と呼ばれるまでの/林和清

現代の歌人140より

落ちるまでは水路で、そんなつもりはなかった?
でも下の句はそんな水の流れさえもなかった気がするな。
まさに「唐突に」という感じ。放り出されたような。
いつか瀧と呼ばれることを知ってはいたんだよね。何だろうな。
心構えの話かな。「とまどへる」にざわざわする。




2025/11/14

[今日の短歌/大塚寅彦]夜見よみがへり春日井建は歌いにき繊月わづかひらくまなざし

夜見よみがへり春日井建は歌いにき繊月わづかひらくまなざし/大塚寅彦

現代の歌人140より

私は短歌を真面目に読むようになったのが最近で、
知識がとても薄くて、正直春日井建の歌もピンと来ない。
でも歌になる彼は繊細でしなやかで、とても魅力的だ。
私の知らない彼がそこに居て、もう一度ちゃんと読もうと思う。
私でも、そのまなざしがいつか分かるといいな。