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2025/12/15

[今日の短歌/大塚寅彦]生没年不詳の人のごとく坐しパン食みてをり海をながめて

 生没年不詳の人のごとく坐しパン食みてをり海をながめて/大塚寅彦

短歌タイムカプセルより

生没年不詳の人って謎だなぁと思ったけど、
見ず知らずの他人ってそんな感じかもなと考えると、
誰にも見つからず、世間からも離れてしまったかのような孤独感と
捉えることは無理があるだろうか。海というのも孤独を増す。
どこから来てどこへ行くのか。生きる為の「パン食みてをり」なんだろう。






2022/10/23

どうしても忘れたくない一瞬はのこるだろうか暖炉のように/大森静佳

 どうしても忘れたくない一瞬はのこるだろうか暖炉のように/大森静佳

短歌研究2021年8月号より

百首連作。去年読んだ時はあまりピンと来なくて、何なら今も
分かってはいないけど、去年よりは理解度が上がった気がする。
この歌のように、分からないと思った記憶も暖炉のように
残ってたのかな。あたたかい記憶になるのがいいな。
色々ちゃんと勉強しよう。


2021/12/13

秋の夜のネオンテトラの水槽に酸素を送る音のみの部屋/谷岡亜紀

 秋の夜のネオンテトラの水槽に酸素を送る音のみの部屋/谷岡亜紀

短歌研究2021年11月号より

瞬時に画が浮かんだ。しんとした秋の夜に、いつも以上に響く
水中ポンプの音。キラキラと光るネオンテトラ。
静かに過ぎてゆく時間。水槽の音って、ノイズになる時も、
BGMになる時もあるけど、これはどっちだろう秋の月も見えてくるようで何かいいな。

2021/12/09

自衛隊大規模接種実施中予約者以外立入禁止/庭野治男

 自衛隊大規模接種実施中予約者以外立入禁止/庭野治男

短歌研究2021年12月号より

掲載されている四首が全て漢字でびっくりした。
だからと言って読みにくいとか、意味が無理矢理という事もない。
凄い。スッと読めちゃう。そして漢字だからこそ、
一字一字しっかりその意味を考えながら読んでた。
余計なものがない分、想像も膨らむ。


2021/12/08

竹林のフルートの音色に目覚めたり良きことあれよ弥生の朝/大畑悳子

 竹林のフルートの音色に目覚めたり良きことあれよ弥生の朝/大畑悳子

短歌研究2021年12月号より

竹林を見た事がないので、何だかとても気になった。
他の木々とは違う音がするんだろうか。そういえば竹は
冬も枯れないの?弥生の頃は若葉が出るんだろうか。
竹林のイメージは日の光が緑に反射して瑞々しい。
祈りたくなるような爽やかな朝を想像した。


2021/12/03

昨晩の君の無言の味がする今朝のキウイもパンもミルクも/小野田光

 昨晩の君の無言の味がする今朝のキウイもパンもミルクも/小野田光

短歌研究2021年6月号より

ケンカしたのかな。気まずさを朝にひきずってる。
読んでるこっちがヒヤヒヤしちゃう。さわやかな朝食の風景なのに、
無言の味がとんでもないスパイスになってる。
きっと君の事が気になって、味がしないんだろうな。
しんとした空気が伝わってきて好き。


2021/11/30

花びらのやうに降る雪ながめをりストーブの辺に猫と並びて/時田則雄

 花びらのやうに降る雪ながめをりストーブの辺に猫と並びて/時田則雄

短歌研究2021年5月号より

冬も雪も嫌いだが、この上の句のように過ごすのは好きだし、
晴れた日の雪原を眺めるのも好きだ。この歌は春を待つ歌で、
そう言われると、花びらのような雪、は近付く春を感じさせる。
真冬は粉だからね…。冬と猫は相性がいいね。丸まってる猫が見える。


2021/11/28

はじめての駅でふたりは水を買ふ秋のみづだとおもつて買つた/魚村晋太郎

 はじめての駅でふたりは水を買ふ秋のみづだとおもつて買つた/魚村晋太郎

短歌研究2021年11月号より

読んだ時、二人の周りはキラキラと輝いて、紅葉が舞い散る画が
浮かんだ。何でもない事かもしれないけど、一言一言がとても綺麗だ。
秋の水ってどんなだろう。はじめての駅はどんな風に写ったんだろう。
幸せそうで、ほわほわした気持ちになる。


2021/11/25

フェイクだと思うよまさかつぶあん派こしあん派よりも多いだなんて/山田航

 フェイクだと思うよまさかつぶあん派こしあん派よりも多いだなんて/山田航

短歌研究2021年6月号より

私はつぶあん派だけど、苦手な人多いよね。
でもこしあんはあんこじゃないと言う人も割と多いし、
やっぱりっぶあん派が多いの?それはそうと、
思ってたのと違う結果を疑うのは大事だなと思う反面、
行きすぎるとまた間違っちゃうし、難しいなと思った。


2021/11/22

許すとは誰に許さるの善き人の張る天蓋が陽を閉ざしゆく/高木佳子

 許すとは誰に許さるの善き人の張る天蓋が陽を閉ざしゆく/高木佳子

短歌研究2021年11月号より

謝ればそれで終わり、許さないと言えば、逆に責められたり。
善い人程、謝罪を受け入れて、本当にそれでいいの?と
不安になる。許すって簡単ではない。そんな簡単に
許して/許されていいのだろうか。こうやって、
薄く心を閉ざしてゆくのか。どちらの立場でも心が痛い。


2021/11/18

愉しみをそつと差し出す神の手を握らむとして見失ふなり/古谷智子

 愉しみをそつと差し出す神の手を握らむとして見失ふなり/古谷智子

短歌研究2021年11月号より

去年からずっと、こんな事が続いていると感じる。
そっと差し出す神の手。後光が差すような救いの手じゃなくて。
密かに楽しみにしていた事も気付けば中止になっていく。
自分の中でそれ程重要ではないと思っていた事が
実は大切な事だった。そんな気付きの歌と感じた。


2021/10/31

チャリが来た 避けようとして傾いたオレと真夏の草のふれあい/工藤吉生

 チャリが来た 避けようとして傾いたオレと真夏の草のふれあい/工藤吉生

短歌研究2021年11月号より

多分、狭い道で、ふれた草も雑草なんだろうけど、
ありふれた風景が急に色付いていくような、はっとする
美しさのある歌だなと思った。自転車が通り過ぎて受ける風とか、
うっとうしいような濃い緑が真夏の一言で鮮やかになる。


2021/10/20

こころから吹き込む雪の夜だからペチカ燃えろよ記憶を焼べて/山階基

 こころから吹き込む雪の夜だからペチカ燃えろよ記憶を焼べて/山階基

短歌研究2021年10月号より

こころから吹き込む雪は相当冷たいだろうなと思う。
そこに焼べる自分の記憶。ペチカの炎とレンガの暖かさ、
吹き込む寒さ。燃えた記憶は熱となって自分を温めるのかな。
じわりじわりと温まるような。静かな夜で、
パチパチと焼べる音が聞こえてきそう。


2021/10/17

縦笛は横笛よりもなめらかに怒りの河を流れてゆける/大森静佳

 縦笛は横笛よりもなめらかに怒りの河を流れてゆける/大森静佳

短歌研究2021年2月号より

縦笛は学校で習うあれ、横笛はフルートが思い浮かんだので、
何となく繊細なイメージのフルートより縦笛の方が
怒りに合ってるなと納得した。怒りの河って何だろう。
自分自身への怒りか、世の中や他者への怒りか。
他者へのじゃなくて、他者かな。なめらかが怒りを中和してる。


2021/10/16

ファスナーは布を噛みたり寒き夜に枕カバーを取り替へゆけば/栗木京子

 ファスナーは布を噛みたり寒き夜に枕カバーを取り替へゆけば/栗木京子

短歌研究2021年2月号より

この歌を読んで、短歌ってミュージカルみたいだなと思った。
今までも何気ない日常の歌を書写してるけど、この歌は
生活そのものというか、でも何かはっとするような。
布がかんだ事で手が冷えてかじかんでいたのに気付いたのかな、とか。
言葉にするのが難しい…。


2021/10/15

雨後の街は金魚のにおいばかりする こころの外へ僕を出さねば/笹川諒

 雨後の街は金魚のにおいばかりする こころの外へ僕を出さねば/笹川諒

短歌研究2021年7月号より

分かりそうで分からない不思議な歌。雨上がりの街。
金魚鉢のように窮屈なんだろうか。雨後の街は自分の心か。
しめったまま、悪いことばかりを考えてしまう。
洗い流してくれる筈の雨は泥水となって溜まってしまったんだろうか。
もがくような悩みを感じる。


2021/10/08

初物の桃をふたりで食べたこと甘く苦しくこの喉にある/千種創一

 初物の桃をふたりで食べたこと甘く苦しくこの喉にある/千種創一

短歌研究2021年9月号より

桃なのがいいよね。瑞々しく甘い思い出と同時に、
過ぎてしまった後悔も喉に残ってる。甘さが先に来て、
喉に引っかかるような痛み。酸いも甘いもと言うけれど、
そんな歳月を過ごして来たのかな。切ない思い出。
千種さんの歌は言葉が綺麗。情景が目に浮かぶ。


2021/10/02

泣かずとも私は私に沿うだろう花瓶にたっぷり水をそそいで/塚田千束

 泣かずとも私は私に沿うだろう花瓶にたっぷり水をそそいで/塚田千束

短歌研究2021年10月号より

しっかりとした芯を感じる歌だ。自分をなぐさめる術を知っている。
自問自答しながら、花瓶の水を満たしていく。寄り沿って寄り沿って。
何かうまく言えないな。泣くべきだったのかもしれない。
でも泣かない、泣けない自分を知っている。
たっぷりの水はいつかこぼれるのかもしれない。


2021/09/30

黄桃の缶を開ければ両膝を抱へて沈む女が見える/高木佳子

 黄桃の缶を開ければ両膝を抱へて沈む女が見える/高木佳子

短歌研究2021年10月号より

一瞬で景が浮かび、そして苦しくなった。つるりとした黄桃は
なるほど頭をもたげ、背中を丸めた女に見える。 でもどうして
そんなふうに見えたのか、覗き込み、見おろすそれは
自分自身ではなかったか。沈む女。もう動かない。
引き上げられるのをじっと待つようで。苦しい。


2021/09/29

ブラックダリア黒蝶5号の花を見て真夏に向かうこころ定まる/佐伯裕子

 ブラックダリア黒蝶5号の花を見て真夏に向かうこころ定まる/佐伯裕子

短歌研究2021年10月号より

店頭に並ぶ鉢花を思い浮かべた。可愛らしい春の花から
キク科の花が増える。ブラックダリアはその中でも大きくて、
花の色も目を引く。春と言うには暑く、夏を思わせる中で
何を決意したんだろう。これから向かう先に花の色が見えて、
強くてかっこいい。