2022/10/25

もう何も飾ることなき白髪の乱るる髪にさす月のかげ/山埜井喜美枝

 もう何も飾ることなき白髪の乱るる髪にさす月のかげ/山埜井喜美枝

現代短歌文庫より

もの悲しい雰囲気があるのに、美しく、力強さを感じるのは、
重ねてきた歳月を思うからかな。一人の淋しさ、 この先のこと。
髪の毛を整える気力もないのかもしれない。月明かりと白髪が重なる。
月のかげは柔らかくて、きっとまっ暗ではない。人生の道標だなぁ。


2022/10/24

生きてくださいと励ましくれし女の顔もうわたくしは思ひ出せない/高木佳子

 生きてくださいと励ましくれし女の顔もうわたくしは思ひ出せない/高木佳子

歌集『玄牝』より

一読した時から心に焼きついて、でもずっとその真意を
計りかねてる歌。最初は思い出せない事への申し訳なさかと
思ったけど、違和感があった。言われた時は憤りがあって
ずっと憶えてたけど、今は思い出せなくなったのかな。
もうに含まれる時間の経過。文字数足りん。




2022/10/23

どうしても忘れたくない一瞬はのこるだろうか暖炉のように/大森静佳

 どうしても忘れたくない一瞬はのこるだろうか暖炉のように/大森静佳

短歌研究2021年8月号より

百首連作。去年読んだ時はあまりピンと来なくて、何なら今も
分かってはいないけど、去年よりは理解度が上がった気がする。
この歌のように、分からないと思った記憶も暖炉のように
残ってたのかな。あたたかい記憶になるのがいいな。
色々ちゃんと勉強しよう。


2022/10/22

近づけば近づくほどにほの暗く触れられないものばかり明るい/塚田千束

 近づけば近づくほどにほの暗く触れられないものばかり明るい/塚田千束

ミニ歌集『そして骨になる』より

理想と現実、かな。たどりつけないような、
自分だけ取り残されていくような不安と孤独。
羨望のような明るさ。 自分の周りだけ暗くうずまいてる気がするんだ。
いつか触れられるだろうか。触れられないからこそ、
明るいのかもしれない。ほの暗いんじゃなく、ほの明るいのかもよ。


2022/10/20

トラクターのハンドル握る右の手は祖父の大地とつながつてゐる/時田則雄

 トラクターのハンドル握る右の手は祖父の大地とつながつてゐる/時田則雄

短歌研究2022年9月号より

道東出身。時田さんの歌はいつも土の匂いがする。
大地にしっかりと根を下ろし自然と共に生きている。
この一首だけで大変な苦労をされてきたんだなと想像する。
連作の中で、過去から未来へ継がれて、今があって、
どれも息づかいや動作が感じられて素敵だ。


2022/10/05

花見でレンタル中です返却ボックスにまだ私が返されてない/荻原裕幸

 花見でレンタル中です返却ボックスにまだ私が返されてない/荻原裕幸

歌集『永遠よりも少し短い日常』より

最初は借りてきた猫みたいだったのかなと思ったけど、
楽しいお花見で、終わってもまだ気持ちが日常に帰ってきてない
って感じかな。うーんでもレンタル中ってどうなんだろう。
返却ボックスって自分の身体?日常生活?
心の内と外が離れてる感じがする。


2022/10/01

砂浜を歩き海から目に届く光のためにおじぎを交わす/堂園昌彦

 砂浜を歩き海から目に届く光のためにおじぎを交わす/堂園昌彦

歌集『やがて秋茄子へと到る』より

青空と柔らかな日差しと。波に反射する光に目をふせるんじゃなくて、
おじぎをする。波もおじぎをしていると捉える感性。
寄せる波の眩しさ。何気ない日常のようで、 特別な一日のようでもある。
祝福。波の音や潮の香りが体を包むような歌。波のキラキラ。
海が見たい。