2023/07/15

あれは夏の記憶のかけらうすき耳にひかりのごとき蟬しぐれ降る/加藤英彦

 あれは夏の記憶のかけらうすき耳にひかりのごとき蟬しぐれ降る

泣きやまぬこえが鋭しさっきまで乳首をふふみおりし木陰に/加藤英彦

短歌研究2023年5+6月号

この二首の並びが凄い。
蝉の声が赤子の声になって、木陰にいるのは記憶の中の、想像の自分のよう。
柔らかかったはずの光がどこか棘を持つ。時間が、記憶が歪んでゆくような感覚。
眩しさの中に小さな小さな点があって、それが何とも言えずもの悲しい。


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